雑誌ジャーナリズムの現場から

マスコミ業界回遊日誌

2008.10.10

10月2日(木)
 西麻布交差点近くの秋田料理店「能代」で講談社のAさんと猪坂豊一さんと一献。
 この店は、私の数少ない行きつけの店で、ご主人、奥さんともに、よくしてくれる有り難い、居心地のいい店である。
 季節季節で、山菜やキノコなど、地元から送ってくる新鮮なものがいただける。

10月3日(金)
 上智大学の秋期講義の第一回目。3時過ぎに、教室の前に行くと、廊下に人が溢れている。教室の中も一杯で、120人教室がすし詰め状態。
 あわてて、学事センターと相談。220人は入れる教室に替えてもらったが、それでも座れない学生がいる。
 前回もいた学生が、「先生!これだけいると呑み会が大変ですよ」と声をかけてくる。これだけいると教えるのではなく、ただ話すだけになってしまう。何とかやり方を考えなくては。
 夜、有楽町の朝日ホールで、嵐山光三郎さんプロデュースの「立川志らく・柳家家緑二人会」へ行く。
 前座の後に、3人で話しをするのだが、嵐山さんの呆けぶりが芸になっている。志らくや家緑が霞むほど、間がいい、面白い。
 隣に座ったのが、私の小・中・高校の先輩木村信介弁護士。お久しぶりとあいさつすると、その二つ隣に椎名誠さん。こちらもお久しぶり。
 志らくは「富久」を熱演。談志家元の狂気の部分は、この人が見事に受け継いでいる。志らくはほんとに今が旬だ。
 志らくの次に、小さんの得意だった「笠碁」をやる家緑は大変だろうと思ったが、枕で笑わせてくれた。場内大爆笑の中で、比較的地味な「笠碁」を無難に聞かせる。
 終わって、ニュートーキョーの上で打ち上げ。山本容子さん、南 伸坊さん、坂崎靖司さん、岡部憲司さん、みんな楽しそうだった。
 立川企画の松岡由雄さんと、志らく落語について話す。木村弁護士には、年末に木村さんが開く落語の会の案内をくださいと御願いする。

10月5日(日)
 立川のカフェ&レストランバーLAF-RAFで開かれる「See it Cafe」に出演。
 テーマは「政権交代!」で、司会は民主党参議院議員の鈴木寛さん。この模様はインターネットで生配信された。
阿久津幸彦氏、長島昭久氏、山花郁夫氏らにこう申し上げた。
 今の民主党は、小沢さんが政権交代を成し遂げるまではじっと我慢の小沢チルドレンの集まり。異論はあるのに、何もいわない。鳩山さんと菅さんは、わがままな小沢さんのベビーシッターにすぎない。
 政権交代を錦の御旗に掲げているが、このやり方は、小泉さんが郵政民営化是か非かだけを掲げて大勝した選挙手法と同じ。
 国民の多くは、民主党政権にそれほど期待しているわけではない。今はとにかく、自民党政権を終わらせて、様子を見たいということでしかない。
 それが証拠に、首相に相応しいのは麻生さんだと、世論調査でも出ている。
 メディアにも「小沢タブー」があって、今は小沢さんの悪口を書かないでおこう、とにかく政権交代をさせようじゃないかという「思惑」が働いているのだ。
 民主党が打ち出している、官僚のいうがままに税金の無駄遣いを続ける自民党政治批判や、国民への「5つの約束」はいいと思うが、財源については、やはりまだまだ説明不足ではないか。国民大多数が「わかった」というまで、説得を続けるべきだろう。
 国連の決議があれば、武力行使もできるという小沢さんの主張に、全員が同意しているわけではないのに、異論が出てこないのはおかしい。
 選挙で、単独過半数が取れないときは、あれだけ批判している公明党と組むことはあるのかなどと質問した。
 しかし、この平成恐慌の中、選挙どころではなくなってしまっている。これで小沢戦略が狂い始めるのではないか。
 そこで出会った、パリ留学して帰ってきた高橋小百合嬢と、立川の駅ビルの上にある「立川中華街」で食事をする。パリのこと、彼氏のこと、就職のこと。この娘はいつも目がキラキラしている。これからが楽しみな10月8日人だ。

10月6日(月)
 島根県から小説家志望の椋木愛美さんがオフィスへ来る。前の「東寿司」で川崎愛砂嬢と小説談義。
 彼女は、純文学志向で、この秋の群像新人賞に応募したいそうだ。そこを出て、高田馬場のカラオケボックスに行き、三人で絶唱。 椋木さん、素晴らしく上手い。たじたじとするが、こちとら歌える歌は昭和30年代しかないのだからと、彼女たちが聞いたこともない歌をがなり立てる。
 失礼だが、今のところ、小説より歌のほうがプロに近いのではといったら、哀しそうな顔をされてしまった。ごめん!

10月7日(火)
 夕方から第一回の大正大学授業。こちらは20人の適正規模。今回は珍しく、男性11人と、女性より多い。お互い初めてだから、間合いを計りながら、これからどんなことを教えたらいいのかを、全員に聞いてみる。
 編集志望よりも、小説家志望が多い。これも今までと違う。1年生と2年生が多いから、いつもいうように、毎日、新聞、できれば紙の新聞を読みなさい。読んで、わからないところを調べ、覚えれば、就職の筆記試験など勉強する必要はないと説教。
 終わって、オフィスに戻り原稿書き。
「楢山節考」「復讐(ふくしゅう)するは我にあり」をはじめ、テレビ、舞台で活躍、ヒーローから極悪人まで幅広い演技をみせた俳優の緒形拳(おがた・けん、本名緒形明伸〈あきのぶ〉)さんが5日、死去していたことがわかった。71歳だった。
 昨年、渋谷で、一人芝居「白野」を見た。よかった。
「エドモンド・ロスタンの名作『シラノ・ド・ベルジュラック』を、幕末から明治中期までの日本を舞台に翻案した『白野弁十郎』は、早稲田大学演劇博物館の創立者、坪内逍遙博士の愛弟子で新国劇を生んだ澤田正二郎により1926年に初演されました。その後、島田正吾が一人芝居の形式で上演を重ね、大隈講堂でも数度公演を行いました。 2000年の上演では、早大生が島田版『白野』の大詰に欠かせないイチョウの葉を校内で集め、島田正吾を感激させたというエピソードが残っています。
 そして、かつて新国劇で2人の名優、島田正吾・辰巳柳太郎両氏に師事した緒形拳が「白野」を受け継ぎ、新たな息吹を吹き込みました」(早稲田大学文化推進部企画課のホームページより)
 よけいなものをどこまでもそぎ落とし、チェロの生演奏に彩られた舞台は、一人芝居なのに、多くの人物が登場しているかのように錯覚してしまう。あの舞台をもう一度見たかった。

10月8日(水)
 朝、雨が降っているから中止になると思っていたゴルフを強行。それほどひどい降りではないのだが、寒いし、どこもかしこも水たまりができていて、私のような下手ゴルファーには厳しいコンディション。とはいっても、いつもと同じようなスコアということは、全天候型の下手ゴルファーだということか。
 オフィスに戻り、明日から始まる「J-CAST」の週刊誌評のため、今日発売された新潮、文春を読む。8時頃、近くのそば屋「金城庵」へ行って、板わさつまみに菊正宗のぬる燗を呑みながら、週刊誌を読み続ける。この店は大正7年にできたそうだ。雰囲気もいいのだが、そば屋にしては珍しく10時までやっているのだ。
 ゆるゆる呑みながら、面白いコラムを読んでいる時間は、まさに至福の時だ。酔いが回るに連れて疲れが出てくる。早めに寝るか。

10月9日(木)
 昼までに「J-CAST」の週刊誌評の原稿を終わらす。3時から、Biglobeの日置徹氏と懇談。この友人は、私の知恵袋だ。何かを聞くと、必ずいい知恵を授けてくれる。今回も、いくつかヒントをくれた。得難い友人である。
 オフィスへ戻って原稿書き。夜、新大久保のタイ料理屋でいっぱい。

10月10日(金)
 昼、講談社のI氏オフィスへ来る。3時前に上智大学へ。朝方、上智の学事センターから、学生の登録が300人を超えたので、一番大きい部屋を取ったと電話があった。
 行ってみると、確かに大きい。学生が少ないと困るなと思っていたが、300枚の出席票がなくなり、追加した。こんな大きいところで、どうやって教えればいいのだろう。呑み会だって、3分割しなくちゃなどと思案しているうちに時間が来てしまった。