スーパーフォーミュラ2026年シーズン始動!今季は燃料ちょっと変化+流量ちょっと削減

スーパーフォーミュラ 2026年第1・2戦 モビリティリゾートもてぎ spotter guide

レース・フォーマット

■レース距離(第1戦・第2戦とも):4.801379km×37 周・177.651km

レース終了までの最大時間:  1 時間15 分

中断を含む最大総レース時間: 2 時間00 分

■タイムスケジュール:土曜日、日曜日の各日、午前中に公式予選、午後に決勝レースを行う週末2レース開催。

写真:JRP

ちなみに

  • 先頭車両が2周回を完了する前にレースが中止された場合、レースは成立せず、選手権得点は与えられない。
  • 先頭車両が2周回を完了し、走行距離がレース距離の75%(小数点以下切り捨て)未満でレースが終了または中止された場合、レースは成立、選手権得点は1/2となる。
  • 先頭車両がレース距離の75%を完了した後に終了または中止となった場合、レースは成立、選手権得点は全てが与えられる。

今回の2戦でこの「75%」に該当するのは、28

金曜日(4/3)午前・午後それぞれ専有走行枠(セッションに続いて5分間のスタート練習)が設けられている。

予選方式:ノックアウト予選方式 (「全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則」に規定されている複数の予選方式のひとつ)

2グループ(A組・B組)に分かれて走行する公式予選Q1、そのそれぞれ上位6台・計12台が進出して競われる公式予選Q2の2セッションで実施される。

4月4日(土)は9時30分から、4月5日(日)は10時10分から、実施予定

  • 公式予選Q1はA組10分間、5分間のインターバルを挟んでB組10分間。そこから10分間のインターバルを挟んでQ2は7分間の走行。
  • 公式予選Q1のグループ分けは、第1戦に関しては主催者(JRP)が決定する。第2戦以降は前戦終了時の選手権得点の順に交互に振り分ける。ただし参加車両が複数台のエントラントについては、少なくとも1台を別の組分けとする。
  • 第1戦Q1の組分けは…

 

 

  • Q2進出を逸した車両は、Q1最速タイムを記録した組の7位が予選13位、もう一方の組の7位が予選14位、以降交互に予選順位が決定される。
  • Q2の結果順に予選1~12位が決定する。
  • 各セッション終了直前にアクシデント等で赤旗提示、走行が中断された場合は、コースインして1周し、次の周回でタイムアタックが可能な残り時間を設定して再開する。(スーパーフォーミュラの慣例)
  • もてぎにおける現在のSFのコースレコードは、2021年第6戦の予選Q1(10月16日 曇り・気温20℃・路面温度24℃)で野尻智紀がマークした1分29秒757。すなわちSF19(ダウンフォースは現用SF23より大きい)でのもの。
  • SF23エアロに切り替わってからは、2025年第3戦(4月19日)予選Q2で牧野が記録した1分31秒172がここまでの最速ラップ。2024年までもてぎは8月開催だったのが4月に移り、大気温度、路面温度が下がったことが大きい。

◼️今回のトピック:燃料について

今季、スーパーフォーミュラの燃料は、原油起源のガソリンに、植物起源のエチルアルコール(エタノール)を、堆積ベースで10%混入した「E10」(エタノール10%の意)になった。といっても内燃機関の燃料として従来の市販ハイハイオクタン・ガソリンと大きな違いがあるわけではない。むしろエンジン側が特段の対応、燃焼の見直しなどをする必要がないエタノール比率が「10%程度」なのであって、これを30〜40%まで増やすと気化特性が変わり、燃焼時の発熱量が減少、燃焼そのものも変化するので最適化が必要になり、ゴム系の配管もガソリン用のままだと、シール類がアルコールによって膨潤を起こすので対策品に変更する必要がある、など、エンジン側の対応も必要になる。燃焼と出力特性からはいっそE100の方が…という話もあって…。世界的には以前、ブラジルが特産のサトウキビの搾りかすからエタノールが大量に得られることから、E100燃料を市販。自動車メーカーにもそれに対応した車両の販売を義務付けた。現在はE100もあるがE30を推進、という状況。アメリカ、EU圏ではE10が流通(イギリスは義務化)している。

日本もCOP3(京都)で地球温暖化抑制を推進する方向、かつ原油資源への依存を多少なりとも抑えようと各種燃料が検討された時期(20年ほど前)、ガソリンへの“バイオエタノール”混合の動きがあったが、元売り各社が消極的で、結局アルコールのノッキング耐性=オクタン価向上効果を利用するためにエタノールから合成するETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)を添加剤として数%混入して“お茶を濁した”。それもなんとなく立ち消えになっていたが最近、経済産業省などが動き出して2030年までにE10市販へ、とプッシュしつつある。

SF用にENEOSが製造するE10ガソリンは、2011年福島第1原発メルトダウンの被災地となった大熊町に設立された次世代グリーンCO2燃料技術研究組合(raBit:トヨタ自動車他7社が参画)が、植物から作るエタノールを混合する。raBitが取り組んでいるのは、土壌改善のために栽培しているソルガム(イネ科の一年草。穀物なので種子は食用や飼料用になる)の茎と葉から酵素によって糖を作り、それを発酵〜蒸留してエタノールを得る、というプロセス。発酵〜蒸留の部分はグレン・ウィスキーなどの製造工程とも一致するもので、もともと糖を多く含む植物、例えばサトウキビやとうもろこしからだと、作物をそのまま発酵させることができるのに対して、繊維質や木質は分解することから難しく、さらにそこから糖を生成しないとアルコール発酵工程に進めない。そこに挑戦しているわけだが、やはり酵素による糖の生成が製造のボトルネックになる可能性が高く、また大熊町周辺でのソルガムの栽培に交付されていた補助金が2025年度で打ち切りになるなど、なかなか難しい環境にある。

SFで1年間に消費するガソリンは5万ℓほどだが、その10%となると単純計算で5,000ℓ以上が必要になる。同組合の現状設備と原材料供給からするとかなり大変そうに思える量だ。さらに、スーパーGT・GT500も今シーズンはENEOS製造のE10ガソリンを使うことになった。もしraBitが製造できるエタノールの供給が間に合わない場合は、「海外から購入する」とENEOS関係者が語っている。現在、世界的に流通しているエタノールは、ブラジル=サトウキビの搾りかす(バガス)からとアメリカ=とうもろこしからのものが全体の8割を占めている。これらはCO2削減策においては「食物との競合」が問題になるので、輸入に頼ることの問題以上に、環境対策としての包括的視点、いわゆるSDGsにおいて好ましくはない。ただスーパー耐久のST-Xクラスでメーカー系車両の一部が使っている「E20」は、こうした“輸入”によるエタノールで製造している、とのこと。

raBitの、植物繊維質からエタノールを製造するテストプラント。
まず原材料のソルガムの茎と葉を破砕する。
(写真:筆者)
破砕した素材をスラリー状にしてから酵素による糖化を行う。左側に並ぶのがそのタンク。
(写真:筆者)
糖分が十分にできれば酵母による発酵へ。発酵関連の設備を収めた建屋。
(写真:筆者)
発酵が進んだら蒸留。加熱して気化したアルコールが上昇したところを冷やし、液体として抽出する。糖化開始時点からすると最終製品となる量はすごく少ない。
(写真:筆者)

SFのエンジン、直列4気筒2ℓ+ターボ過給の“NRE”にE10ガソリンを使うと…。エタノールを含むアルコールは、分子(エタノールでC2H6O)の中に酸素を含むので、完全燃焼しやすい(「燃えやすい」とは違う)が、炭素数が少ないことから発熱量はガソリンの70%程度。気化性もじつはガソリンより悪い(肌に付けるとスッと気化してひんやりするので気化しやすいと思いがちだが)。しかし体積比で10%(比重はガソリンの一般値より少し大きい)ということは、そのまま混ぜても発熱量は3%ほど低下するだけ。ENEOSの開発製造責任者は「SFのエンジンは市販ガソリンに合わせた燃焼特性を作っているということなので、ガソリン側で炭素量を調整します」と言っていた。つまり同じ燃料量、とくに燃料リストリクターによる重量ベースの流量一定化においては、そこに含まれる炭素量は減ってもごく少なく、これまでと同様の燃焼が得られると見ていい。

公開されている「燃料性状表」によると、ENEOS製E10ガソリンは、まず比重0.7419、オクタン価がRON(リサーチオクタン価:日本で一般に言われるオクタン価)99.8、MON(モータリングオクタン価:少し負荷が大きい状態での耐ノック性試験)87.0、その他の一般的性状もほぼ市販ハイオクタン・ガソリン並みになっている。

それよりも、今季はその燃料リストリクターによる流量上限が、昨季までの90kg/hから88kg/hに絞られる。つまり2.3%カット。エンジンの出力特性への影響としては、そちらの方が大きいだろう。7040rpmから燃料の重量流量がこのラインで一定になる。コーナーからの脱出加速でこの回転速度を越えてからはずっと、エンジン出力が昨季よりも2+%減るのだから。

一方で、オーバーテイク・システム作動時には、同じ10kg/hの増量でも昨季は(10/90)×100=11.1%の出力増だったのが(10/88)×100=11.4%の出力増になる。これをドライバーがどう体感するか、それ以上に加速の伸びの違いにどう現れるか、を確かめてみたいところだ。

■決勝レース中の燃料補給:禁止

■燃料最大流量(燃料リストリクター):88kg/h(118.6L/h)

  • 燃料リストリクター、すなわちあるエンジン回転速度から上になると燃料の流量上限が一定に保持される仕組みを使うと、その効果が発生する回転数から上では「出力一定」となる。出力は「トルク(回転力、すなわち燃焼圧力でクランクを回す力)×回転速度」なので、燃料リストリクター領域では回転上昇=時間あたり燃焼回数の増加に対して1回の燃焼に使える燃料の量が減るので、回転速度に反比例してトルクは低下する。つまり一瞬一瞬にクルマを前に押す力は減少しつつ、それを積み重ねた「仕事量」、つまり一定の距離をフル加速するのにかかる時間、到達速度(最高速)が各車同じレベルにコントロールされる、ということになる。
  • NRE(Nippon Racing Engine)導入直後の2014年は最大流量100kg/h(8000rpm以上)、2015年からは95kg/h(7600rpm以上)に設定され、以降、2020年まで鈴鹿と富士ではこの流量値だった。2021年からはこの2つのコースでも他と同じ90kg/h(7200rpm以上)の設定に変更。今季は88kg/h(7040rpm以上)となる。

 ■オーバーテイク・システム:最大燃料流量10kg/h増量(88kg/h→98kg/h)。

作動合計時間上限:200秒間

ステアリングホイール上のボタンを押して作動開始、もう一度押して作動停止。

一度作動→オフにした瞬間からの作動不能時間(インターバルタイム)は、もてぎは120

  • OTS作動時は、エンジン回転7200rpmあたりで頭打ちになっていた「出力」、ドライバーの体感としてはトルク上昇による加速感が、まず8000rpmまで伸び、そこからエンジンの「力」が11%上乗せされたまま加速が続く。ドライバーが体感するこの「力」はすなわちエンジン・トルク(回転力)であって、上(燃料リストリクター作動=流量が一定にコントロールされる領域)は、トルクが10%強増え、そのまま回転上限までの「出力一定」状態が燃料増量分=11%だけ維持される。概算で出力が60ps近く増える状態になる。すなわちその回転域から落ちない速度・ギアポジションでは、コーナーでの脱出加速から最終到達速度までこの出力増分が加速のための「駆動力」に上乗せされる。
  • ドライビングとしては、直線全体の加速(余裕駆動力)が強まり、先に待っているコーナーへのアプローチで速度が高まる、ということは、ブレーキングはその分だけ手前から始めないと、そのコーナーにターンインし、旋回することができる速度まで減速できない。OTSを作動させた時にはこの感覚の調整も要求される。
  • 後方を追走している側は、前走車がOTSを発動させれば加速が段付き状に強まるので、それがわかり、どう対応するかを判断することは可能なはず。先行する側は、「ここで使ってきそうだ」と思ったら“ディフェンス”OTSを発動させる手もあり、実際にそうしたケースが増えているが、後続車両のドライバーは早めにOTSを切ると、お互いの作動不能時間が終わるのが自車のほうが早くなるので、そこで仕掛ける、といった駆け引きが生まれている。
  • このオーバーテイク・システム(OTS)の発動を知る方法としてはSFgoアプリのテレメトリーデータになるのだが、それぞれの車両を選択表示させた上で、その画面を注視することが必要。しかしそこにアプリ上の伝送遅れ時間が、通信環境にもよるが、何十秒間かある。
  • チームとドライバーの無線交信の中で、直前・直後の車両のOTS関連情報を知らせる、問い合わせるケースが多くなっている。ドライバーからは「(直接競い合っている)車両・ドライバーがOTSを発動させたかを問い合わせる交信もあるが、SFgoの伝送遅延時間では、即応が難しい。むしろ「残り何秒?」が、競争の組み立ての中では意味が大きい。
  • ロールバー前面LEDは、スタート時点では緑色。残り作動時間20秒からは赤色。残り時間がなくなると消灯。インターバルタイムでは「遅い点滅」。車両電源ONでエンジンが止まっていると、緑赤交互点滅。
    写真:JRP

で、もてぎという舞台では…

  • 言うまでもなく、コースの中で最も長い直線=全開(これはスロットルバルブ開度を指して言う言葉なので、正確には「全負荷&燃料リス取りクター作動状態」)が続き、OTSによる出力増大効果が明確に現れるのは、ヘアピンを立ち上がってダウンヒルストレートを駆け下り、90度コーナーに飛び込む、までの区間。一昨年第8戦の終盤、10周完了でタイヤ交換した関口30周まで“引っ張って”フレッシュタイヤに履き替え2車をパスして背後に迫った平川の超接近戦の中でも、それぞれにこの区間でOTSを“撃ち合い”ながら、次の周では作動負荷状態で…という攻防が演じられた。この最有効区間での使用は基本だが、しかし同時に撃ち合ったのでは攻める側としてはオーバーテイクに至らず、先行車と発動周回をずらすとか、手前のV字コーナーぐらいから作動させて差を詰めるのに使う、などの駆け引きが欠かせない状況になっている。
  • スタートやリスタートからの接近状態の中で順位を上げようとOTSを使うのはセオリーとも言えるが、逆にもてぎはコース前半が短い直線と回り込みターンの組み合わせ。脱出加速ではOTSが効果を発揮しても並びかけるまでで並走旋回になってしまうと追い越しまでは難しく、接触のリスクが増え、競り合いでペースが落ちると後続に詰め寄られる。とはいえスタート直後の接近戦の中では、コーナー蹴り出し加速で追いつかれるのも苦しいので、攻防どちらのポジションでも、2コーナー立ち上がりから5コーナーに入るブレーキングまではOTSを使っておくドライバーが増えそうではある。
  • その一方で、接近戦の中でセクター1をOTS作動で競り合った車両が、その先のダウンヒルストレートでは作動不可状態にあるところで、さらにその直後に付けていた車両がOTSを使ってオーバーテイクに成功する。あるいは前を行く車両がダウンヒルストレートでOTSを作動、90度コーナーでオフにして作動不可にある状態で、直後の車両がメインストレートから1-2コーナーを立ち上がり3コーナーまでOTSを作動させると、この短い加速区間でもオーバーテイクが可能、という事例もあった。
  • 2023、2024年のレースラップは、フレッシュタイヤの“一撃”を使った1、2周で94秒台の半ば、コンスタントラップで95秒台後半〜96秒台あたりであり、インターバルタイムが最も長い120秒間なので、OTSを作動オフにしてから1周してきてさらに24〜25秒先のポイントまでは再作動できない。もてぎの計時区間(セクター)は4つに分けられていて、セクター1・24秒前後、セクター2&3・25秒前後、セクター4・21秒、というあたりが近年の実績であり、ということは、例えばダウンヒルストレート終端までOTSを使ってオフにした場合、次の周回は作動不可、その次の周回のセクター1の中間地点、つまりに1-2コーナーを旋回・立ち上がった先でやっと次の発動が可能になる。逆に、ヘアピン立ち上がりから作動させたい場合は、その2周前の5コーナーへのアプローチ=減速開始のタイミングではオフにしている必要がある。いずれにしても、OTSをオフにしてからの作動不可時間が「1周と4分の1」に延びたことで、立て続けに使う場合の作動開始点が1周+「セクター一つ分とさらにもう少し」先になった、ということだと理解して、「どこで止めるか」により着目すると面白味が増しそうだ。

■決勝レースでの燃料搭載量:車両側の最大容量は95Lで、これを“満タン”状態まで積んだ場合のガソリンの重量は 71.25kg。燃料補給なし・レース距離短縮の現状では、最大でも90Lほどにタンク容量を抑えている(ガスバッグ内に「容量調整ボール」を入れる。

燃料リストリクター)の設定88kg/hでのレースでも、90kg/h設定と燃料消費はあまり変わらないと思われ(今後確認しましょう)、従来実績から推定して2.5km/L(3.4km/kg)程度で走れそうだと仮定すると、レース距離177.7kmだと71L(52.7kg)を消費する計算になる。OTS作動200秒分が0.75L(0.56kg)、これにピットからグリッドまでの1周とフォーメーションラップ1周、そしてフィニッシュ後に戻ってくる1周、合わせて3周の低速周回に必要な燃料量(仮に3L, 2.2kgとする)、さらに統一規則にある「全ての走行セッション終了後レース終了後、車両から1.0Lの燃料サンプルを抽出できなければならない」の分(1.0L, 0.74kg)を加えると、75.75L, 56.2kgあたりが、レース“出撃”時の搭載燃料最少量となるはずだ。

この前提条件だと、1周あたりの燃料消費量は1.92±L。10周で14kgほどずつ燃料重量が軽くなってゆく計算になる。

勝負を分けるのはやっぱり、タイヤをどう使いこなすか

タイヤ:横浜ゴム製ワンメイク

ドライ1スペック, ウェット1スペック

タイヤ使用制限:ドライ(スリック)

全日本SF選手権統一規則には、「競技会期間中を通じ、1レース、車両1台あたりに使用できるドライタイヤは最大6セットとする」と規定されている。

今週末に供給される新品タイヤは、まず金・土曜日に向け各車4セット。さらに2月の鈴鹿テストで供給されたセットの中から未使用、あるいは走行距離が少なく状態の良いもの2セットを“持ち越し”セットとして加えている。これで、金曜日のフリー走行1時間×2セッション、土曜日の第1戦・予選と決勝を走行。日曜日向けにはさらに新品2セットが供給され、第2戦はこれに第1戦までに供給されたものの中から4セットを“持ち越す”。ずっとドライ路面だった場合、例えば日曜日に予選Q 2に進出すれば、決勝には「1アタック品」2セットが残る計算になるが…。雨だと、次戦に向けて新品を持ち越すことができるかも。

写真:JRP

決勝中のタイヤ交換義務:あり

  • スタート時に装着していた1セット(4本)から、異なる1セットに交換することが義務付けられる。
  • 先頭車両が10周目の第1セーフティカーラインに到達した時点から、先頭車両が最終周回に入る前までに実施すること。

(もてぎロードコースの第1SCラインは、セカンド・アンダーブリッジを抜け、左コーナー直前でピットロードが分岐する所・コース路側に引かれた白線。ちなみにピットロードを出てコースに合流する位置を規定する第2SCラインは、本コース上に引かれたピットロードの延長を示すラインが終わった先、1コーナー寄りの路側に引かれた白線)

  • タイヤ交換義務を完了せずにレース終了まで走行した車両は、失格。
  • レースが赤旗で中断している中に行ったタイヤ交換は、タイヤ交換義務を消化したものとは見なされない。ただし、中断合図提示の前に第1SCラインを越えてピットロードに進入し、そこでタイヤ交換作業を行った場合は交換義務の対象として認められる。
  • レースが(31周を完了して)終了する前に赤旗中断、そのまま終了となった場合、タイヤ交換義務を実施していなかったドライバーには競技結果に40秒加算。
  • 決勝レースの中でウェットタイヤを装着してコースインした場合、このタイヤ交換義務規定は適用されないが、ウェットタイヤが使用できるのは競技長が「WET宣言」を行なった時に限られる。

タイヤ使用制限:ウェット 1レース、車両1台あたりに使用できるウェットタイヤは最大8セット(1大会・2レース制の場合)

*天気予報によると、土曜日はウェットタイヤの出番かな? 日曜朝の予選までウェット路面が残るかも。

天気予報によればこの週末は雨が来そう。ヨコハマのタイヤサービスもウェット(トレッドパターンあり)、ドライ(スリック)ともに準備万全。
(写真:筆者)

■走行前のタイヤ加熱:禁止

 レース中のタイヤ交換ピットストップについて

■ピットレーン速度制限:60km/h

■レース中ピットレーン走行+停止発進によるロスタイム: およそ20秒(近年のもてぎでのレース状況から概算した目安程度の値。ピットロードが比較的低速で切り返すビクトリーコーナー手前で分岐し、1コーナー手前で合流するレイアウトのため、国内サーキットの中ではかなり短い)。ピットストップによって”消費”される時間はこれに作業の静止時間が加わり、コースインしてから履き替えたタイヤが作動温度域に達するまでのロスタイム(1秒程度と考えておけばよさそう)が加算される。

これにピット作業のための静止時間、現状のタイヤ4輪交換だけであれば7〜8秒を加え、さらにコールド状態で装着、走り出したタイヤが温まって粘着状態になるまで、路面温度にもよるが半周、セクター3にかかるあたりまでのペースで失うタイム、おおよそ1秒ほどを加えた最小で30秒、若干のマージンを見て32〜33秒ほどが、ピットストップに”消費”される時間となる。言い換えれば、ピットタイミングが異なる車両同士では、この「ミニマム32〜33秒」が、順位変動が起こるかどうかの目安になる。

■ピットストップ: ピットレーンでの作業が認められる要員は6名まで。ただし1名は「車両誘導要員」として、いわゆる“ロリポップ“を手にしての誘導に専念することが求められる。したがってタイヤ交換に関われるメカニックは5名となる。この人数の中でタイヤ交換以外の作業時間を削り取るべく、前側のジャッキアップを自動化。車両ノーズの進入を接触センサーなどで検出し、圧縮窒素ボンベからのガス圧力で伸縮するシリンダーを伸ばしてリフトさせる。後側は人手で空圧ジャッキ挿入後、リフトを自動化。どちらも空圧を抜けば車両重量でジャッキが“落ちる”。各チームのメカニック・グループの設計製作なので、車両検知・リフトのメカニズムがそれぞれに異なる。前側に自動上昇ジャッキ、後のジャッキ(これも空圧作動が普及)の挿入・上昇の作業に1名が付き、残り4名は各輪の場所で待機して車両が滑り込んできたら一気に4輪交換に入る。前輪側の一人が作業終了して移動、反対側の作業完了を確認した瞬間にフロントジャッキを落とし、リアは専任者が同様にジャッキダウンして、発進…という流れが一般的。

アクシデント処理などでセーフティカーが導入されると、走行ペースは一気に低くなり、ピットストップによるポジション・ロスが大幅に少なくなる。タイミング次第で一斉にピットに飛び込んできたり、順位を上げる/失う、の運不運が生じたりする。
(写真;JRP)
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