あなたが食べた和牛ステーキの牛の皮が、新車の革シートになってるかもしれない話【人とくるまのテクノロジー展 2025】

食肉牛の皮はすでに革製品になっていた

長年疑問に持っていたことがありました。それはいつも食べてる牛肉をいただいた元の牛さんの皮はどこへいっているんだろうということです。

散々、ステーキだ、焼き肉だ、しゃぶしゃぶだ、ローストビーフだ、生まれてこれまで何頭分の牛さんのお命を戴いたか分かりませんが、その割に牛革製品というのをそんなに買っていません。ちなみにワタクシ、恥ずかしながら、本革シートなんて贅沢な装備の車両を購入したことがございません。

さて、人とくるまのテクノロジー展2025で、そんな疑問を解決してくれるブースに出会いました。CircuLeather(サーキュレザー)を展開するミドリオートレザー株式会社です。そちらでは、食用の肉としていただいちゃった牛さんの皮を革製品として利用している会社のようです。

まず、上記の疑問について、そもそも現状でも食用の肉としていただいちゃった後の牛の皮は、すでに革製品として広く一般に利用されているのだそうです。

日本車の革シート原料は、主にアメリカンビーフの皮が日本に輸入され、日本車に装着されているのだそうです。

それは良かったですね、めでたしめでたしとならないのは、実はこの革を鞣(なめ)す、過程においてクロムを含んだ薬品を使用することだそうです。そこでミドリオートレザーでは、クロムフリーの鞣し方法を利用して革製品の製造に挑んでいるとのことです。

さらに、日本で消費された日本の牛さんの皮は、主に東南アジアに輸出され、革製品の材料として利用されているとの事。それをこれからは、日本で食べられた牛さんの皮、つまり和牛の皮をクロムを使わず鞣し、日本車に利用しようというのです。日本で生まれ、育って、消費された和牛の皮を日本車の革シートにする取り組みが新しく始まろうとしているのだそうです。まさに地産地消ですね。

さらにさらに、車両を廃棄した際、自動車のシートに使用された表皮は、一般にはシュレッダーダストとして処分されますが、実は自動車を購入する際のリサイクル料のかなりの額をシートのリサイクル料(廃棄料?)が締めているの知ってました? 2シータースポーツより、8人乗りのミニバンのリサイクル料がかなり高いのはこのためです。サーキュレザーでは、この革シートの表皮を肥料としてリサイクルするまで視野に入っているとの事。クロムフリーだからできるわけですね。

個人的に海の幸が食べられない体質になっている僕にとって、これからは安心して肉を食べ続けていきたいと思います。

(小林和久)

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