自動車とCN_vol02

なぜ内燃機関を排除しなければならない?【自動車のCN化-その真実 全てBEVになる日は来ないvol.03】

「カーボンニュートラル」の考え方とは?

でもそこでもう少し考えを巡らせます。なぜ内燃機関を排除しないといけないのだろう?

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原油は燃料からプラスチックのような工業原料まで、様々に姿を変える便利な資源で、20世紀後半以降の工業文明を支えてきた、といっても過言ではない、けれど…。資源量、国際経済と地政学におけるバランス、そして温室効果ガス…様々な問題を生み出す存在でもある。(写真:public domain)

そこで燃焼させる燃料、これまでは化石燃料、地中に固定されていた炭素を掘り出した原油を精製したものなので、使った分だけ二酸化炭素が生成・排出されている。
昨今問題になっている「地球温暖化」、その大きな要因のひとつと考えられている「温室効果ガス」の中で、量として最大のものが二酸化炭素、CO2 なのですが、ひとつ重要なのは地球全体として見ると、一方で二酸化炭素が排出され、それを吸収して酸素(O2)を作り出すという巨大なサイクルが働いています。つまり「CO2 を出してはいけない」のではなく–そうだったら人間を含む動物が呼吸してO2を取り込み、CO2 を吐き出すことも、あるいはメタン(CH3)が主成分の牛などが反芻して出すゲップも、ダメとなるわけで–、「CO2 の排出総量を、地球全体の自然環境が吸収できる量に止めよう」というのが、今、私たち人間の活動全体に課せられたテーマなのです。この概念が「カーボン・ニュートラル」(CO2 は“カーボン・ダイオキサイト”ですが、長いので“カーボン”だけに略した言い方)。

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目指すべきはカーボンニュートラル/CO2排出削減が求められている、といっても「出してはいけない」「排出ゼロ」ではありません。地球の自然環境が処理できる量、主には植物がCO2を吸収して酸素を送り出す、その総量とバランスするところまでできるだけ早く減らしましょう、が人類に課せられたテーマなのです。(出典:経済産業省)

そこで、内燃機関で“燃やす”燃料が、「人類の活動で発生した二酸化炭素」を集めて、それを原料にして「製造された」ものになれば、そしてその製造に使うエネルギーが水力や太陽光、風力など、いわゆる再生可能エネルギーで作った電力を使えば、そこで生まれた燃料を内燃機関で燃焼させてクルマを走らせ、船を走らせ、飛行機を飛ばしても、そこで排出されるCO2 は、その発生源から循環して大気に戻ることになって、エンジンもまた「カーボン・ニュートラルな動力」になるのです。
もちろん、CO2 を吸収して育った植物などから作った「バイオ燃料」で内燃機関を動かしても「カーボン・ニュートラル」にできます。糖分を含む作物であるサトウキビ、とうもろこし、果実などからアルコールを作れば、そのままでも使えますし、化学処理してガソリンや軽油を作ることもできます。パームやしなどから抽出した油からも内燃機関で使える燃料が作れます。ただそれらで交通機関を動かすとなると、膨大な量が必要になり、それ以前に今の人間社会でこうした作物は、まずは食料にすることを優先しなければなりません。糖や酒の原料にした後に残る搾りかす、廃食用油などを利用して燃料を作ることも可能で、その利用も刻々増やしてゆくべきですが、そこで得られる燃料の量は、交通機関全体が消費するものの中では微々たるものでしかないのが現実です。
だからこそ、様々なところで発生するCO2 を「原料」にして作る「カーボン・ニュートラル(CN)燃料」が本命、なのです。もちろんバイオ起源のものも含めて、こうした燃料で化石燃料を置き換えれば、自動車の「全てをBEVに」置き換えなくてもいい。BEVはその特質に応じた使い方に、そしてカーボン・ニュートラルな電力が供給される場で走らせる。
BEVで代替するのが不可能に近いのは、大量の貨物や人間を載せて長距離を走る車両であり–それと同じように切実なのは航空機であり、船舶であるわけですが–、そしていつ使うか、どこに向けてどれだけ走るかも自由に、「移動」を楽しむクルマなどなどは、合成された「カーボン・ニュートラル(CN)液体炭化水素燃料」を燃やす内燃機関(Internal Combustion Engine)で走る車両、すなわちICEVを、大幅な改良を重ねつつ継続してゆく。こういう棲み分けが、今後何十年かの自動車の、道路交通社会を、成立させる方向だと、私自身は結論づけるに至ったのです。<続く>

(両角岳彦)

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