ル・ボラン・カーズ・ミートで自動車ショーのあり方を東京オートサロンと比較して考えてみた

興味ない人が見に来る画期的な自動車イベント!?

5月10〜11日、ル・ボラン カーズ・ミートが 横浜赤レンガパークで開催されました。恥ずかしながら初めて行ってきました。

同イベントは、2010年5月に始まり、5月第二週末つまりゴールデンウィーク明けの土日に開催されてきたそうです。

長年、東京オートサロンには、取材する側、出展する側、主催する側として深く関わりを持ってきました。そういう目線で見てみると、カーズ・ミートはオートサロンの真逆のイベントと感じられました。

その違いを上げてみると、

 オートサロンカーズ・ミート
入場料有料無料
会場屋内屋外
主な出展車両チューンド・カスタムノーマル
当初媒体optionル・ボラン
主催の母体三栄芸文社
〃創業昭和22年10月昭和20年11月1日
〃設立昭和27年9月17日昭和29年4月23日
〃資本金9,800万円7,550万円

まず、オートサロンは入場料を払って入るイベントに対し、カーズ・ミートは無料イベント。お金を払ってまで見たい、と言う人に濃いものを見せるオートサロンに対し、カーズ・ミートは通りすがりの車に興味がない人に対し、ちょいといい車をその目に、その手に触れさせることができる、かもしれないイベントです。

カーズ・ミート会場は屋外で、しっかりしたブースを作ることはできませんが、それだけ大掛かりにする必要もないとも言えます。天候による人手はどちらにしても大きく左右されるものではありますが、屋外会場では「ブースでできること」が晴天と雨天では違ってくるので「晴れてたらできること」を予定するのは難しいし、雨に濡らすのがNGという往年の名車などは展示できません。

展示される車種は、オートサロンは公道を走ることを前提としなくてもいい車両から、走るけれどちょっとノーマルじゃないってものが主流で、カーズ・ミートは基本的は販売中の最新車種が中心です。

始まりはどちらも雑誌由来のイベントであり、現在の事実上の主催社はどちらも雑誌出版社です。三栄と芸文社って、上記スペックが意外に似てますね。けど、芸文社のほうが創業は古く、同社の沿革によると昭和21年4月に創刊した月刊誌「読物と講談」から、「読物と講談」、「女性の友」、「読切倶楽部」と創刊していったそうです。今とだいぶ違いますね。

さて、カーズ・ミートは誰かがふらりと見に来るかも知れない、興味ない人の目に触れさせることができるというメリットの他に、出展側も構えなくていいような雰囲気を感じました。コロナ禍以降、イベントに飢えていた人々が、コロナ一段落後に雨後の筍のようにイベントが立ち上がり、人々が外出してきたように感じます。オンラインにはもう飽きたという!という心の現れかもしれません。

その結果、イベントに出展する側から、「イベントが重なって片方は出せなかった」「土日、社員は休ませなきゃなので管理職しか出られない」なんて声も聞こえます。そういう時代に、少し肩の力を抜いたように出展できるカーズ・ミートはこれはこれでアリなんじゃないかなと感じました。

なお、ル・ボランはもともと芸文社の媒体ではありませんでしたが、芸文社から生まれた旧車雑誌発のイベント、「ノスタルジック2デイズ」も盛況のようです。

そんなル・ボラン カーズ・ミートで目に付いたものをピックアップします。

ブレンボ

こちらは、スポーツ系ブレーキシステムでは超有名な、泣く子も止まるブレンボです。他のイベントに単独出展しているのはあまり目にしません。F1用ブレーキや、各車種用ブレーキキットを展示してありました。知らなかったのはパッドも出してらっしゃってるんですね。今度A110用の低ダストタイプがあれば装着したいと思います。その他、グッズも豊富にあり、さすがイタリアのブランドだけあって、どれもおしゃれでした。

パナソニック

パナソニックストラーダは、マーケットとしては縮小傾向にあるとはいえ、アフターのカーナビでガンバってるブランド。展示されていた最新モデルの「CN-F1X10C1D」は、モニターに有機ELを使用しているため、非常に薄型でスタイリッシュに仕上がっています。しかも、モニターの裏側にはマグネシウム合金などを用い、手触りも含め、高級な「お金がかかった」仕様となっており、フラッグシップにふさわしい質感となっていました。

 

もうひとつ、パナソニックブースには非接触充電ユニットが展示されていました。これは、アフターマーケットで買うものでなく、自動車メーカー純正としてセンターコンソールなどに埋め込まれているものの中が見えるようになっている展示物です。非接触充電を使ってことがあるとわかると思いますが、スマホを置く位置によってうまく充電できなかったりすることがありますよね。熱を持ったりもします。あの不具合を解消するため、パナソニックのそれは、非接触充電側が最適位置に動いてくれるんだそうです。へー知らなかった。

ホンダアクセス

ちょっとおもしろいなと思ったのがホンダの電気軽バン「N-VAN:e」向けのホンダアクセス製純正アクセサリーです。N-VAN:eは、電気自動車らしく、外部給電コードをつなぐことで、100ボルトを供給できます。さらに車中泊などで快適に過ごせるよう、キャンピングカーのごとく外部電源入力、ソケットもオプションで用意されています。この2つを組み合わせることで、自分で外部給電した電力を車内に引き込むことができるわけです。外に出たものが中に入って戻ってくるわけですが、じゃあ最初から内側にコンセントをつけておけばいいじゃないと言う気もしますが、そこは本当に必要な人がどれほどいるかわからない上で、コストアップにつながる用品を標準装備するのもナンセンスと言えるのです。

もう一つ装着されていた充電インジケーターですが、社外から充電の様子が一目でわかると言うもの。これもアプリなどによって外で知ることができるわけですが、まぁいちいちスマホのアプリを立ち上げることなくぱっと見で充電状況がわかると言うのは親切なものです。これも標準装備にしなかったのは商用電気自動車のあるべき姿、どこまで必要かをホンダが考えた結果なのでしょう。ホンダアクセスさんとしては商売の幅が広がりますね。

BBS

それから試乗モノでは、BBSによるホイールの違いによるドライバビリティの変化を体感すると言うものが目を引きました。純正ホイールからBBSホイールに変えることで、ごく低速で走ってもその違いがわかると言う体験コーナーでしたが、果たしてどれほど変わって感じられるものか、タイヤの銘柄、サイズホイール、インチ径なども違ってたので「ん?」と思いましたが、今度機会があれば体験してみたいものです。

アルピナ

その他にも今年60周年を迎え、BMWのブランドになる直前、純生としては最後のモデルと言えるアルピナの展示などが目を引いていました。

駐車料金や電車代等再払えば、気軽に見に行けるル・ボラン カーズ・ミート。まだご覧になってない方は、来年行ってみてはいかがでしょうか?

(小林和久)

 

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