ボディラッピングとプロテクションフィルムはまったく違うって知っていますか?

ラッピングフィルムとプロテクションフィルムは素材から違うそうです

せっかく新車で買ったA110、傷は付けたくない、劣化も最小限に抑えたい。そう思うのは自然な感情です。なので、購入以前から、ボディをフィルムで保護することをイメージしていました。

けれど、まったく知識ナシ。恥ずかしながら、ラッピングとプロテクションフィルムって、色が付いているか、透明かの違いだけだとすっかり勘違いしておりました。もちろん、色付き、透明の違いはあるんですが、それ以上に素材も特徴もまったく別モノだったんですね。その辺りを紐解きます。

そこで、ボディフィルムにはめっぽう詳しいというPPFジャパンの石黒さんにお話を聞き、どうするのがベストか考えてみました。

色を変えたいのか、塗装面を守りたいのか?

小林 石黒さん、A110を買ったんですけど、ボディに飛び石とかで傷付くのが心配で、ちっとも気持ちよく走らせることができないんですよ、貧乏性なんで。それで、ラッピングでボディを保護するのはどうかな~と思ってるんですけど、どうですかね?

石黒 ちょっと待ってください。小林さんの目的はなんでしょうか?

小林 え、フィルムを貼って、ボディ保護をしたいなと……。

石黒 それじゃ、プロテクションフィルムを貼りたいんですね。

小林 あ、ラッピングとプロテクションフィルムって別物なんですね。

石黒 はい、それらはまったく別物と考えて下さい、最新のフィルムでは両方兼ねたものがようやく出始めてはいますけれど、価格面や流通量などから、今のところ、別けて考えて下さい。

小林 完全に混同していました。

石黒 一般にラッピングというのは、色の付いたフィルムをボディ全体に貼ってボディカラーを変えて楽しむためのものです。フィルムの素材は塩ビと言われる硬いプラスチックが使われます。それに対して、プロテクションフィルムは、一般には透明で柔らかいゴムに近い素材が使用されます。

小林 素材も違うんだ! 私が望むのはプロテクションフィルムです。その辺り、もっと教えて下さい。

石黒 自動車のプロテクションフィルムの始まりは、NASCARですね。アメリカには、黒い「ノーズブラ」と言われるフロント部分を飛び石から守るパーツがありました。けれど、レーシングカーにこれを付けちゃうと、スポンサーロゴが見えなくなるし、外れると危険だし。じゃあ、透明なフィルムを貼ろうということになって3M社の「ヘリテープ」が使われるようになりました。これはベトナム戦争の頃、ヘリコプターが離着陸の際、巻き上げた小石でキャノピーが傷付いて下方視界が悪くなるのを防ぐために作られたものです。

小林 だからヘリテープですか。NASAとか軍のために開発された、って自動車用品の定番ですね。では、プロテクションフィルムは透明で貼ったことがわからないのですね。

石黒 そうです。だから、全体に貼るのでなく、飛び石を防ぐためにフロントにだけ貼ったり、駐車場で自転車置き場になっている左側にだけ貼る、なんて使い方もあります。それと、高級車を中心にマット塗装が登場してからは、艶消しのフィルムも出てきました。普通の透明フィルムを貼るとマット塗装が艶ありになてしまいますから。逆に、裏技的には艶あり塗装に艶消しフィルムを貼ると、マット塗装のように見えます。イメチェンができますよ。

小林 それ、面白いですね! 寿命などはどうなりますか?

石黒 使用状況にもよりますが、ラッピングでおよそ3年くらい。それを過ぎると色褪せたり硬化してひび割れてくる場合があります。また、フィルムは剥がすことが前提なのですが、剥がしにくくなったりします。プロテクションは7年くらいからですね。屋内保管だと10〜15年もつ場合もあります。

小林 日常のメンテに関しては?

石黒 ラッピングは塗装と同じく洗車したり、コーティングしたりしてください。プロテクションは、フィルム自体に撥水効果があるものが多くなってきています。こちらだと普通に洗車するくらいですね。洗車機はオススメとは言えませんが、使用することは可能です。

小林 撥水ですか! プロテクションにますます興味が湧いてきました。

石黒 プロテクションは鳥の糞が付いてもティッシュで拭き取れます。傷が自己修復するから楽ですよ。

小林 自己治癒能力ですか!

石黒 サンプルシートを貼った小林さんのA110のボディをワイヤーブラシで擦って下さい。

小林 わーいや~、ってダジャレ言ってる場合じゃないけれどやっぱり嫌だな。けれど思い切って……(かなり擦ってみて)あー! やっぱり傷ついてますよ。

石黒 ここでちょっと温めてみますね(ヒートガンで表面を温める)。

小林 あっ! 傷がなくなってる。

石黒 温めなくても少しずつ消えていきますよ。

小林 断然、撥水のある、艶消しのプロテクションフィルムを貼りたくなりました。どんなフィルムがあるんですか?

石黒 いままでお話を伺って、希望に沿うものは3つあります。ひとつは「GYEON(ジーオン)」。コーティング業界では有名なメーカーが作ったフィルムということで他社と比較しても撥水性能は確かです。次に「STEK(エステク)」。このメーカーだけが仕上がりが異なる「半光沢」と「艶消し」の2種類から選択できます。それから、ソフト99オートサービスの「クライマックス」というフィルム。国産のTPU素材を使用している点や、全国に施工店が多いことなどから施工後のこと考をえると安心感があります。

小林 おー、どれもそれぞれ選ぶ理由がありそうですね。悩んでみたいと思います。

(小林和久)

※GENROQ 2024年9月号に掲載しました。

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