心臓にヤマハ発動機の「Electric Engine」を持つケータハムプロジェクトVは1500万円〜【東京オートサロン】

 

燃料がガソリンだろうがディーゼルだろうが、電気で走ろうがたとえ空気で走ろうが、思い通りに走る、気持ちよく走れるという人間の感性と車の素性は一定の原則のようなものがあります。

それに、カッコいいかどうかも、黄金比のように、地球上の色々な場所に誰もが感動する絶景があるように、車のカッコよさにも法則があります。好き嫌いとは別ですが。

2024年東京オートサロンで発表されたときは薄いグリーンメタリックだったのが今年は白でした

2024年東京オートサロンで発表されたときは薄いグリーンメタリックだったのが今年は白でした

そういう意味で、ケータハム・プロジェクトVは、カッコよくて気持ちいい車になりそうな予感がします。

ケータハムは、1957年に登場したロータス・セブンが1972年に製造打ち切りとなった翌年の1973年、セブンの製造権を取得して、ケータハム・セブンとして生産を続けている小さな自動車メーカーです。

こちらがおなじみのセブン170R

こちらがおなじみのセブン170R。スズキの660ccターボエンジンを搭載します

長年にわたってスポーツカーを作り続けてきていますし、そのスポーツ性は多くのファン、自動車愛好家から認められるところです。

実は、僕が所有しているアルピーヌA110は、ルノーと、ケータハムが2012年に共同出資でアルピーヌ・ケータハム合弁会社し、両社の共同企画でスタート。アルピーヌとケータハムの両ブランドでスポーツカーを発売することで開発費用が折半でき、量産効果も高まるとして進められていたものの、2014年にケータハムが手を引いて、ルノー(つまりアルピーヌ)の単独車種で発売となったわけです。プロジェクトが頓挫しなくて良かった。

アルピーヌA110も途中までケータハムが開発に関わっていました

アルピーヌA110も途中までケータハムが開発に関わっていました

ケータハムが撤退した理由は公にされていませんが、当時大きな赤字を抱えていたためだと巷では囁かれており、技術的な問題とか、熱意が薄れたとかじゃないってことでしょう。

そんなスポーツカーメーカーであるケータハムが新作として発表するプロジェクトVです。期待が高まるのは当然でしょう。

リヤビューも古典的なスポーツカーらしさぷんぷん

リヤビューも古典的なスポーツカーらしさぷんぷん

そんな期待大のケータハム・プロジェクトVですが、BEVを前提として開発が行われ、バッテリーには、台湾の「Xing Mobility」が開発した車載バッテリー冷却技術である「液浸冷却バッテリーパック」を採用。パナソニック・エナジーの車載用円筒形リチウムイオン電池のバッテリーセルを誘電性の液体に浸す液浸冷却技術によって、急速かつ均一な放熱性で高い安全性を実現するそうです。

Xing Mobilityの「液浸冷却バッテリーパック」。パナソニック・エナジーのリチウムイオン電池が中に入っているそうです

Xing Mobilityの「液浸冷却バッテリーパック」。パナソニック・エナジーのリチウムイオン電池が中に入っているそうです

肝心のモーターユニットはヤマハ発動機が担当し、後輪を駆動させます。今シーズンのフォーミュラEにもパワートレインを供給して参戦しているヤマハですから、スポーツカーの心臓として申し分ないということでしょう。ヤマハ発動機の電動パワートレイン開発部門は、元々トヨタ2000GTを始め、レクサスLFAなど特殊なスポーツカー向けエンジンを手掛けてきた部門が電動モーターも手掛けるようになった経緯があり、「心躍らせるパワーユニットとは?」の解を持っていると言っていいのではないでしょうか。自ら、そのパワートレインを「Electric Engine」姿勢制御技術もなんらかでヤマハが開発を担当するともされています。

ヤマハ発動機が「Electric Engine」と称するeアクスルを搭載することが公表されています

ヤマハ発動機が「Electric Engine」と称するeアクスルを搭載することが公表されています

アンソニー・ジャナレリ氏がチーフデザイナーを努める外観は、流麗なラインと低く地を這うようなスタンスという古典文法通りのスポーツカースタイルです。A110がエレガントさを強調していたのに対し、より英国車らしさと力強さが加わったような印象です。意外なのは2シーターではなく、後席1名掛けの3人乗りであり、オプションで2+2の4人乗りにすることも可能とのこと。このあたり、エンジンや燃料タンクよりも搭載位置に自由が効く電動車両ならではの強みを活かしたということでしょう。

ケイマンのようなスタイルですが、後席もあります

ケイマンのようなスタイルですが、後席もあります

価格は英国で8万ポンドから、とされています。1月半ばのレートでは、日本円でおよそ1522万円です。A110Rが9万1490ポンド、ロータス・エミーラが9万9900ポンドなので、これらより安くしたいということでしょうか。

2024年10月には、東京アールアンドデーが試作を担当するというアナウンスがあり、そもそもケータハムは現在日本のVTホールディングス傘下にあり、ヤマハ発動機やパナソニックエナジーなど、日本の様々な技術がふんだんに盛り込まれた電動スポーツカーは、2025年央ころにプロトタイプが発表されると発表されています。ステアリングを握るのがとても楽しみな一台ですね。

目標スペックです

目標スペックです

●ケータハム・プロジェクトV仕様(目標)

・ボディタイプ/構造
3人乗り 2+1クーペ(オプション2+2)
革新的なカーボンファイバーとアルミニウムの複合シャシー、複合素材のボディ

・寸法
全長:4255mm、全幅:1893mm、全高:1226mm

・重量
1190kg(2+1)DIN質量(全ての液体を含み乗員なし)

・パワートレイン
リヤマウント永久磁石同期モーター200kW(268bhp/272PS)、定格400V eモーター

・バッテリー
55kWh USOCバッテリー(2ユニット)、高度な熱管理システム搭載

・バッテリー充電時間
15分で20-80% SOC

・最大出力
200kW/268bhp/272PS

・0-100km/h加速
4.5秒未満(推定値)

・最高速度
143mph(230km/h)

・航続距離(WLTP複合基準)
249マイル(400km)

価格
8万ポンド〜(英国市場価格)

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