原付じゃないスクーターに乗ってみたい!
生まれて初めて取得した免許証「原付」でした(かれこれ40年以上前になってしまいました)。もちろん、道交法での原付免許であり、道路運送車両法での原付1種、一般的に50cc未満のバイクしか乗れません。
ちなみに、国交省は、二輪メーカーの「日本だけの50ccのバイクに排ガス規制クリアさせたら商売にならん。もう作れません!」という声により、それだと原付しか乗れないおばちゃんや蕎麦屋、牛乳屋、新聞屋などで困る人もいるってことで、「二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会」(主催:警察庁)において検討し、「総排気量が0.050Lを超え0.125L以下であり、かつ、最高出力を4.0kW以下に制御したもの」を原付免許で運転できるよう道路交通法体系の見直しを行う、として、以下のように改正すると発表しています。
二輪の原動機付自転車のうち、「総排気量が0.050Lを超え0.125L以下であり、かつ、最高出力が4.0kW以下のもの」を第一種原動機付自転車に新たに追加します。
(2) (1)の新たな第一種原動機付自転車については、型式認定において、その原動機に総排気量に加え最高出力も表示させることとします。
(3) (1)の新たな第一種原動機付自転車の原動機付自転車用原動機については、型式認定において、その原動機に総排気量に加え最高出力も表示させることとします。
4kWと言えば、およそ5.4ps。僕が原付免許を取った頃の、ホンダMBX50、ヤマハRZ50、カワサキAR50、スズキRG Γ(ガンマ)50なんかが憧れのバイクで、7.2ps自主規制枠いっぱいいっぱいの出力でした、でも、これより低いわけですね。
いずれにしても、排気量で細かくバイクを区分けして、免許や税金などを複雑化しているのは日本だけと言います。日本ブランドのバイクは、4輪以上に世界中のシェアを持っているわけで、国を上げて日本のバイク産業がやりやすいようにしてほしいと思うものです。
と、前置きが複雑化しましたが、ツーリングに出かけるため、せっかくならとバイクをレンタルしようと思い、ヤマハバイクレンタルのHPを開きました。
恥ずかしながら高校生のときに取得したいわゆる中免、いまでいう普通二輪免許しか持ってないので、400cc以下のバイクを物色しますが、ここで、現在ヤマハでは僕の免許で乗れる排気量いっぱいいっぱい、つまりヨンヒャクのバイクは日本で売っていないのです。YZF-R3、MT-03などが「排気量320cc」で最大なんです。YZF-R3はやはりレンタルバイクで北海道にて乗った経験がありますが、「あと80ccあれば良かったのに…」なんて感じることは、あるはずもないです。そんな気持ちが前述の前置きなわけです。
そこでふと気付いたのが、僕は原付以外のスクーターに乗ったことがないってこと。いわゆる「ビッグスクーター」なんて言葉も
なかったわけです。長年二輪から遠ざかっていた典型的リターンライダーは、「バイクって言えばスポーツモデル」の幼い考えでストップしてましたので、排気量が大きなスクーターってあり得ないし、当時は実際に存在しなかったのです。
そこで一度は乗っておかねば、と選んだのが、XMAX(エックスマックス)です。排気量は249cc、いわゆるニーハンクラスです。
- YAMAHA XMAX(2023モデル)
- YAMAHA XMAX(2023モデル)
- YAMAHA XMAX(2023モデル)
- YAMAHA XMAX(2023モデル)
- YAMAHA XMAX(2023モデル)
Webで手続きを終え、レンタル当日は「ヤマハ バイクレンタル東京大森」へ愛車「ハンターカブ」で向かいます(レンタル中は地下駐車場で預かってくれます)。ここは、他のヤマハバイクレンタルの多くがヤマハ正規ディーラーであるYSPが行っているのと違い、ヤマハ直営のレンタル専門店で、バイクは売っていません。その代わり、基本的には全ヤマハ車がラインアップされています。
ヤマハ バイクレンタル東京大森では、担当の鈴木さんがすでにXMAXを用意してくれていました。同店では、GAERNEのブーツやグローブの無料レンタルキャンペーンをやっています。ちょうど履いてみたいと思っていたスニーカータイプをレンタルしました。
必要書類を記入して、エヌマックスの使い方についてレクチャーを受けます。
常識なのかもしれませんが、既にこのクラスでもスマートキーになってました。キーをポケットに入れておくだけで、エンジンの指導や各種ロックが操作可能です。ダイヤル式のイグニッションスイッチを回したり、プッシュすることでシートを開けたりフロントの小物入れの蓋を開閉できます。
メットインは常識なのでしょうが、それでもヘルメット2つが優に入るシートしたわ。大容量です。この手のスクーターは実用性には抜かりがないようです。なるほどなと思ったのは膝下のこの入れ右側はロックがかかりませんが、左側はロックがかかります。ちょっと停止した時にも、さっと取り出しやすいものや、めったに出し入れしない貴重品など使い分けができるわけです。
まずはまたがってみます。思いのほか、足がつかない自分の足の短さに愕然としました。両方のつま先をつけようとするとギリギリという感じです。しかしバイクでは車と違って目線が低いヒップポイントが低いと言うのが必ずしもスポーティーではありません。アップライトなポジションで走ってこそ思った通りに操作できると言うこともあるわけです。
ブレーキレバーを握りセルスタータースイッチを押すとトゥルるるると言う音とともに軽やかにエンジンはかかります。
走り出しもスムーズそのもの。大昔のスクーターしか知らない人間にとって、技術の熟成を感じます。
街中での取り回しは非常に楽でどこでも走れちゃう気がしてしまいます。停車時に足をつくときだけ唯一、もう少し自分の足が長かったら良かったのに…と思うくらいです。
初めてこのクラスの乗り物に乗るので、ハンドリングの良し悪しとか詳しくはわかりませんが、もう一台所有しているSR400よりは扱いやすいと言えます(当たり前か!)。
中型二輪ですので高速道路も走れます。ETCゲートを通り過ぎたあとの加速も十分なもの。一般的な乗用車の流れよりも先に行くくらいは余裕で可能です。
さて、高速道路をスクーターで走る、という自分が幼い頃には思いつかなかったことですが、先に結果を言ってしまえば、思った以上にラクチンでした。100km/hでの巡航も問題なく可能です。おそらく、大型バイクなどと比べれば直進性も横風の影響もいいわけではないんでしょうけど、日本の制限速度内で使う限り、「こういうところがもう少し…」と思うことはありませんでした。
それ以上に、まっすぐ走るのも曲がるのも何もかも、とにかく楽で、バイクを乗ることの楽しさが、その不便な乗り物を御することにぞアリ、と思うようなストイックな人には向いてないのかも知れません。これくらい楽な乗り物で行きたいのなら、四輪でもいいんじゃない?と思ったのも事実。
今回は、袋田の滝までのツーリングで400kmほど走りましたが、ドッと襲ってくるような疲れはありませんでした。おそらくSR400で行ってたら、かなりの披露が溜まったことと思います。やはり、運転姿勢とフロントから風が当たらない風貌による効果が大きいでしょう。
袋田の滝は想像以上に雄大でした
トータル走行距離は407.6km、使用ガソリンは11.29リットルで満タン法による燃費は36.1km/Lでした。250クラスのスクーターは普段遣いからレジャーまでなんでもできて、維持費も安い万能な乗り物であると確信しました。
とはいうものの、ツーリングに同行いただいたバイク女子(それもバイクに関してかなりのツワモノ)のお口から「せっかく長距離移動するんだったら車じゃなくてバイクのほうがいいじゃないですか…」という言葉には「ハッ!」と気付かされました。
これまで「長距離だったらバイクではなく車で移動するもの」が一般的な考えと思っていましたが、乗ること自体が楽しい乗り物で行ったほうがいいわけですよね。もちろん、天候の影響とか、仕事上での必要性などを別にすれば、バイクは楽しいから乗るのであって、楽だから乗る乗り物とは限らないことですね(同じ漢字を使って紛らわしいですが…)。だとしたら、移動自体が楽しめるバイクが選択されるのも当然です。もっと言えば、乗りにくくても楽しめるバイクって、世の中にいっぱいアリそうだし、それを探すのは究極に無駄かもしれない崇高な趣味に思えます。
ともかく、日常にもレジャーにもバイクが必要で、楽に楽しめるスクーターのバイクが欲しい人には、XMAXはとてもおすすめです。2025年モデルは既に発表されていますので、次はそちらに乗ってみたいと思います。
(文・写真:小林和久)
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