アルピーヌA110に出会った頃の話【アルピーヌA110のある生活その1】

アルピーヌって? A110って?

アルピーヌという車、初代のA110、A310、A610と存在はもちろん知っていましたが、まあ、特殊な車で、スーパーカーブームの時はスーパーカーカードにも登場しなかったし、よくわからないので、なんとなく自分に関係ない車かな、と避けてたようなところはありました。

初代アルピーヌA110
初代アルピーヌA110

しかし、それなりにラリーやレースで活躍したスポーツカーであるんだろうなという認識はありましたので、いつか乗ってみたいなくらいには思っておりました。

ルノー・スポールが変わったクルマをリリースしていること、メガーヌやクリオ(ルーテシア)の特別なやつは乗って楽しいことも知っていましたが、ちょっと乗り味が違うゴルフGTIみたいな感じかなと思ってました。

新旧揃い踏みでお披露目
新旧揃い踏みでお披露目

2017年頃から、海外からの情報で、新型アルピーヌA110が発売されるというニュースが流れはじめ、2018年には日本導入にあたって、フランス大使公邸で開催されました。

港区南麻布にあるフランス大使公邸にて
港区南麻布にあるフランス大使公邸にて

シャンパンをいただきながら耳にした導入時の価格は790万円とアナウンスされました。ざっくりした範囲ではトヨタ86/スバルBRZと似たようなジャンル。カッコいいけど、まだ運転していないし、800万円クラスの2シータースポーツカーを買う状況には当時の生活環境ではあり得ない車と思っていました。ちなみに導入時の「A110 プルミエール・エディション」は、世界限定販売数1955台の内、日本では50台の限定販売。その限定50台に対し、約20倍の1021件の応募が殺到したのだとか。

20倍の応募が殺到した6年前の2018年のその価格設定を、2024年9月現在での価格と比較してみましょう。

プルミエールエディションは、現在のA110ピュアに該当するわけですが、その後、特にマイナーチェンジなどのリリースはありません。細かな点では、内装材などが変更(理由は不明ですが、マジックテープが引っ付かなくなった)になっていますが、最高出力252psのエンジンスペックなどにも変更はないものの、現行モデルではユーロ6の規制対応でGPF(ガソリンパティキュレートフィルター)が装着されるなどの変更は行われているようです(そのため、指定エンジンオイルも変わっています)。こういった対策ってユーザーへの直接的な商品の魅力アップではないので、「だから値上げしましたよ」って言いにくいんだと思いますが、発表してもいいんじゃないでしょうかね。

プルミエールエディションは、ボディカラーがブルーアルピーヌメタリック、キャリパーがブルー、ホイールがFUCHSの鍛造となっていました。

アルピーヌA110導入時に50台発売されたプルミエールエディション
アルピーヌA110導入時に50台発売されたプルミエールエディション

これを現在(2024年9月)日本でオーダー可能なモデルで注文しようとすると以下のようになります。

A110【ピュア車両本体価格】:990万円
ボディカラー【ブルーアルピーヌメタリック】:30万円
ブレーキキャリパー【ブルー】:6万5000円
ホイール【FUCHS製鍛造18インチ】:15万1800円✕4本=60万7200円(ディーラーオプション)

合計:1087万2200円

なんと、6年間で300万円くらいの差額となってしまいました。

ただし、FUCHSのホイールは以前はピュアにもメーカーオプションで16万円ほどで選べ、現在でもA110Sには標準、A110 GTには18万円のプラスで注文が可能ですので、それを考慮すれば250万円ほどのアップということになります。

以下が、現在のFUCHSのラインアップとデューラーオプション価格。

プルミエールに装着されたブラックダイアモンドカット
僕も装着しているシンプルなシルバー
ちょいワルブラックに見えるチタニウムグレー

円安の影響や、ありとあらゆる材料の値上げ、様々な社会情勢の変化などあったとはいえ、790万円に価値を見出した1000人ほどの方々は見る目があったと言わざるを得ませんね。

日本導入モデルはピュアとリネージでした

その後、限定車でない継続販売されるいわゆるカタログモデルがローンチされ、ベースモデルのの「A110 ピュア」と「A110 リネージ」の2グレード展開でスタートしました。ピュアの価格は追加料金無しのボディカラーであるブラングラシエで790万円、定番のブルーアルピーヌとパールホワイトと言えるブランイリゼが811万円でした。

リネージはその後の「A110 GT」と言える装備充実モデルで、リクライニングやハイト調整可能なヒーター付きシート、ブラウンレザーとアルミも用いたインテリアが特徴で、ガンメタのようなグリトネールが829万円、ブルーアルピーヌが841万円でした。

いずれも出力は252psのエンジンです。

そしていよいよ、報道向け試乗会で、富士スピードウェイ周辺を走る機会を得ました(コース内は時間の都合で走れず…)。

それほど広くない山道を、軽量な車体を十分なパワーで登っていく感覚、そして思ったとおりにコーナーを曲がっていくときの素直さが印象的でした。しかし、それ以上にボディのしっかり感と、軽量なスポーツカーとは思えない、どこかしっとりした乗り味をとても良く覚えています。

86/BRZの倍くらいの価格なんだけど、じゃあトヨタ/スバルが倍の価格でいいからと言っても、こういう車を作るのは無理なんだろうな、となんとなく感じます。

ただし、その時点ではまさか、そんな車を購入できる日が来るとは思わず、いつか、こういう車が買えると良いな、そう思いながら、試乗車を返却したのでした。【つづく】

(文・写真/小林和久)

<追記/20240924>
この記事を掲出した直後、アルピーヌ・ジャポンからA110シリーズの価格を改定すると案内がありました。2024年10月1日からの新たな価格は以下の通り。

車種名 メーカー希望小売価格(税込) 現行価格→新価格
アルピーヌ A110/990万円 → 1040万円
アルピーヌ A110 GT/1100万円 → 1150万円
アルピーヌ A110 S/1160万円 → 1210万円
アルピーヌ A110 R TURINI/1550万円 → 1610万円

ついに、一千万円払っても本体が買えない車両になってしまいました。

発表リリースには「今回の価格改定は、原材料費、物流費等の高騰によるものです。」と付け加えられておりました。つまり、製品の魅力や機能がアップしているわけじゃありませんよ、ということですね。それにしても2022年10月31日までの価格から比較すると、アルピーヌ A110が811万円でしたので、239万円の値上がり、たった2年で3割ほどアップです。

「オプション、アクセサリーの価格に変更はありません。」とありますので、そこは頑張ったのでしょう。

まだまだ値上がりする可能性は十分ありますし、将来はICE車両としては生産が続かないことも考えると、いつかは、、、と考えているなら、早めに決心すべきかも知れませんね。

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