FIA世界耐久選手権シリーズ(WEC)にUNITED AUTOSPORTS & McLarenから佐藤万璃音(横浜市出身・25歳)が2025年度もフル参戦いたします。開幕戦では幸先の良いポールポジションを獲得いたしましたが、第2戦イタリア、イモラでは2ポイント加算の9位完走。続く第3戦はスパ・フランコルシャンで、もらい事故によるリタイア。そして第4戦ル・マン24時間では無念の連続リタイアという不本意な結果に終わっております。
心機一転、7月12~13日にブラジル、サンパウロ・サーキットで開催されたWEC第5戦「ROREX 6 HOURS OF SAO PAULO」に参戦した佐藤万璃音は、昨年このレースで自身として初の世界選手権における表彰台を獲得していただけに、意気込みも新たに万全の準備を整えてブラジル入りしました。
フリー走行1回目の走り出しからマシンのバランスは問題なく、順調にセットアップを進めました。48周をこなし、タイム的には1分35秒628でクラス9番手。フリー走行2回目では、49周をこなし、1分35秒278で6番手と順調な仕上がりをみせていました。
フリー走行3回目は、1分34秒659とさらにタイムを縮めて5番手につけた95号車は、そのままブロンズドライバーのダレン・レオン選手が予選に臨み、1分35秒090を8周目にマーク。このタイムがクラス4番手となり、ハイパーポールへと駒を進めることができました。
そして迎えたハイパーポール、ここではショーン・ゲラエル選手が6周目のアタックで1分34秒219を叩き出したのですが、ライバルたちもタイムアップを果たしたため、結果は予選5番手、3列目からのスタートとなりました。
決勝レースは UNITEDAUTOSPORTS & Mclarenとしては、予想外に苦戦を強いられるレースとなりました。レギュレーションによってドライブシャフトに装着されたセンサーがパワーカーブを測定しているのですが、滑りやすいサンパウロ・サーキットでマシンがスライドすると、それに過剰反応してしまい、測定数字がリミットを越えてしまうトラブルが出てしまったのです。
この原因がセンサーなのか、システムの問題なのかはレース中にはわからなかったのですが、チームとしては安全策を取るしかなく、ペナルティストップを避けるために、パワーをマネジメントしながら、ペースを抑えて走るしかなかったのです。
その結果、レースは思うようにペースを上げられず、完走9位フィニッシュ。2ポイント加算することはできましたが、チーム本来のポテンシャルを発揮することなく、悔しい結果に終わりました。
■95号車ドライバー、佐藤万璃音のコメント
「自分としては、やはり悔しい結果ですね。ここは昨年も良い結果でしたし、今年も走り出しからマシンのバランスは悪くない状態でした。ダレン・レオン選手がフリー走行から良い走りを見せてくれていたので、決勝レースでは勝負ができると思っていました。
しかし決勝レースが始まってみると、ドライブシャフトのパワーセンサーがスライドに対して過剰反応している感じで、パワーが上下に振られた時に、レギュレーションで10kgジュールの余裕があるのですが、それを越えた数値が出てしまうと1回目は注意、2回目からストップ&ゴーのペナルティが課されるのです。
システムの問題かどうかはわからなかったのですが、チームとしてはペナルティのリスクを避けるために、トラクションを上げる方向でセッティングを変更し、ドライバーはマネジメントしながらパワーを抑える方向で走るしかなかったです。
レースではスタートドライバーのダレン・レオン選手が自分のスティントでデブリを踏んでしまったのか、スローパンクチャーしていたのですが、ピットストップでタイヤ交換するよりもステイアウトでそのまま走らせたほうがロスタイムが少ないと判断し、結果的にタイヤの内圧不足でドライブスルーペナルティを受けることとなってしまいました。
自分としては自分のスティントは全力で走り続けて前の車を追い、そして抜くという展開を想定していましたが、2回のドライブスルーと、ストップ&ゴーのペナルティの消化が決まっていましたし、パワーマネジメントの問題もあってプッシュできないままレースが進んでしまった感じです。
今回もマシンのポテンシャルを発揮することなく終えた悔しいレースでした。次のオースティンでは、精一杯戦うレースがしたいです。応援ありがとうございました」
(ランブラス 町田英明)
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