2025 SUPER GT Rond 2, “FUJI GT 3 HOURS RACE” 26台抜き!ふたりで魅せた驚異のオーバーテイクショー! 悪夢の予選27位から、チーム全員で勝ち取った初優勝!

●5月4日(決勝)


SUPER GT第2戦「FUJI GT 3 HOURS RACE」は、快晴の富士スピードウェイで満員の大観衆が見守る中での開催となりました。そのレースファンの興奮を、ひときわ盛り上げたのは、前日の予選でグリッド27番手に沈んだVELOREX 6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIでした。
「今日は絶対にリベンジしてみせます」と、レース前に強い意気込みで語ってくれた小倉啓悟監督の言葉には、前夜遅くまでデータ解析を徹底し、トラブルの原因を突き止めるべく尽力したVELOREXのスタッフ全員の気持ちがこもっていた。
早朝から開催されたサポートレースやピットウォークの華やかな舞台の裏で、ピットにはデータを検証し続けるエンジニアたちの姿があった。予選で下位に沈んだふたりのドライバーの表情は、予想外に明るい。
「チームを信じているから、あとは全開で攻め切るだけ。失うものは何もないよ」とロベルト・メリ・ムンタン選手。その言葉どおり、スタートから1周で7台をオーバーテイクしてくると、2周目には17位、3周目には14位と、毎ラップ確実に前を行くマシンをオーバーテイク。さらに上位のマシンがトラブルを抱えたり、スピンを喫したりする中、ミスなく圧倒的なハイペースでポジションを上げ続ける6号車は、10周目には9位、そして20周目には6位まで追い上げました。そして32周目にドライバー交代でピットに飛び込んできた際には、クラス3位と驚異的なポジションアップを果たしていたのです。
そしてステアリングを引き継いだ片山義章選手も、ピット作業のロスタイムで16番手までドロップしてしまったものの、再びロベルト・メリ・ムンタン選手同様のオーバーテイクショーを開始。40周目には11位までポジションを上げ、47周目には6位、66周目には3位へとポジションを戻し、上位陣のピットストップのタイミングによって、70周目にはトップに浮上してそのままピットイン。再びロベルト・メリ・ムンタン選手に交代しました。
最後のスティントを任されたロベルト・メリ・ムンタン選手は、6位でレースに復帰すると、瞬く間に前車との差を詰め、74周目に5位、75周目に4位まで浮上。ピ
ットでは残り時間とライバルたちのピット作業のタイミングを予測し、「トップの2号車はもう1回ピットが残っていて、777号車はもう一度給油作業でピットに入るはずだから実質的なトップは61号車で我々とのギャップは25秒。追いつくのは厳しいがプッシュしろ」と無線でロベルト・メリ・ムンタン選手に指示。VELOREXはあくまで優勝を狙って攻め続けました。そして87周目には再び3位までポジションアップ。
残り16分で2位の61号車との差16秒を縮めるべくロベルト・メリ・ムンタン選手はラストスパートに入ります。そしてドラマは最後に待ち受けていました。
トップを走る777号車が100周目に突然ピットイン。やはり燃料不足による給油作業を開始したのです。これで61号車が首位に立ち、6号車 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは2位へと浮上。残り11分、首位との差は11秒。ロベルト・メリ・ムンタン選手は追撃の手を緩めず、101周目にはその差8秒9,102周目にはその差7秒2,さらにギャップを縮める6号車は残り3分、その差6秒3まで縮めると.61号車が視界に入った途端、更にタイムアップし、残り2分で4秒2まで縮めます。残り1分の時点でトップ61号車との差、3秒4!
そしてGT500の首位が3時間のチエッカーを受け、GT300クラスのファイナルラップとなったところでその差2秒5、あと1周でこの差は縮められない、2位表彰台かとチームの誰もが思った瞬間、TVモニターに61号車が失速しながら止まる姿が映ったのです!
まさかの初優勝、ロベルト・メリ・ムンタン選手と片山義章選手がつかんだ奇跡の逆転優勝に、ピットは歓喜と興奮に包まれました。
「まるで映画を見ているみたいな気分でした」とトップチェッカーを受けたロベルト・メリ・ムンタン選手。「嬉しい、本当に嬉しい、みんなありがとう!」と叫び、瞳に涙を浮かべながらスタッフひとりひとりと抱き合う片山義章選手。新チーム、VELOREXの初優勝は、まさに劇的なドラマのような瞬間でした。

■片山義章選手のコメント

「ロベルト・メリ・ムンタン選手がファーストスティントで予定どおり追い上げてくれて、20台くらいパスしたのかな? 予選がブースト圧のトラブルで下位に沈んでしまいましたが、ウォームアップ走行で充分僕たちはポテンシャルがあると信じていたので、決勝レースへの気持ちは切り替わっていました。それで気合いを入れてコースインしたのですが、実はピットアウトした段階で実際に自分がどこにいるかわからな
かったので、前しか見ず、集中してオーバーテイクをし続けました。それが優勝という結果に結び着いたのだと思います。いや、それ以上に自分が今年、心から優勝という結果を求めていたことが良かったのかも知れません。本当に嬉しいです。スタッフ全員に感謝しています。ありがとうございました」

■ロベルト・メリ・ムンタン選手のコメント

「ちょうど4年前、この富士でスーパーGTに参戦し始めたのですが、あの日から今日まで、本当に全員で努力して、トップを争うことができるようになったのは、嬉しい成長だと思います。今日のレースに関して言えば、本当に映画のような奇跡的なレースでした。最後列からのスタートで、20台以上のマシンをパスしてチームメイトの片山義章選手にマシンを渡し、彼も素晴らしく安定した走りを見せてくれて、最終的に優勝できたのは、夢のように嬉しいです。最後はスバルさんがタイヤで苦戦するか
なと思い、自分たちはタイヤを労りながらプッシュしていたのですが、優勝するには絶望的なギャップがありました。しかし最後まで諦めないでプッシュし続けたのは、彼らのマシンから少しずつ白煙が出始めていたからです。自分たちが攻めれば攻めるほど相手もプッシュしてくるのですが、次第に白煙が多くなってきたので、もしかしたら何か問題があってチャンスが来るかも知れないと信じてプッシュし続けました。最後にああいう形で勝てたのは、本当に相手には申し訳ないですが、これはレースですし、奇跡のような優勝を本当に嬉しく思っています。チーム全員に感謝の気持ちでいっぱいです。チームは最高の仕事をしてくれましたし、片山義章選手も、僕を応援してくれているオーナーの片山さんにも心から感謝しています」

■小倉啓吾チーム監督のコメント

「今日はいいレースができるかなと思ってはいたのですが、まさか本当にここまで上手くいくとは思っていなかったです。ドライバーもスタッフも最高の仕事をしてくれて、ミスなく頑張ってくれたレースでした。最後の展開は想像もしていませんでしたが、自分たちができることを全てやった結果だと思います。ヨコハマタイヤさんも素晴らしい仕事をしてくださったし、スポンサーさん、すべての皆さんに感謝しています。忘れられない初優勝になりました」

■古場博之エントラント代表のコメント

「とにかくチーム全員が良い仕事をした結果です。特に片山義章選手が良かったです
ね。1時間を超えるロングスティントをとても良いラップタイムで周回を重ねてくれましたし、すごく冷静に走ってくれたことが良かったです。無線にトラブルが出たり、実はいろいろあったのですが、彼は落ち着いて対処してくれました。もちろんロベルト・メリ・ムンタン選手が最初のスティントと、最後のスティントで素晴らしい走りを見せてくれたことも良かったですし、最後には前をいく61号車に強烈なプレッシャーをかけ続けたことが、相手の車への負荷をかける結果になってしまったのでしょう。61号車の方には本当に申し訳ないですが、そこはレースなので、今日は自分たちが勝たせてもらいました。今回はいままでに無くドライバーとのコミュニケーションもしっかりできて、エンジニアも頑張った。当たり前のことなのですが、本当にそれをしっかりと頑張り抜いた。応援にいらした方々の声援やサポートしてくださっている方々のすべての努力が実を結んだ結果だと思っています。本当に皆さんに感謝しかありません。ありがとうございました」

(VELOREX 広報)

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