名車GT-Rは何のため電気自動車となった?【東京オートサロン2025で見落としがちな展示車その1 日産R32EV】

■EVにすることで車の何が楽しいかがわかる実験車だった!

東京オートサロン2025で、大混雑の中、チラ見では真意がわかりにくい展示車のその1は日産ブースのR32スカイラインGT-Rの電気自動車「R32EV」です。

日産 R32 EV

日産 R32 EV

あの貴重なサンニーを! 今やめちゃ高価なGT-Rを何してくれてんねん!と関西風に突っ込みたくなるBNR32GT-Rベースの電気自動車です。

給油口はきれいに充電口へと変更されてます

給油口はきれいに充電口へと変更されてます

リーフを2010年に発表し、電動化を早くから進めてきた日産として、「これからも運転を楽しめるサスティナブルな車両を考えた選択肢のひとつとして、過去の名車も電気で走るようにしてみました!」というだけではないと、日産自動車のカスタマーパフォーマンス&実験技術革新部の町田直也さんはおっしゃいます。

次世代のドライビングプレジャーを有した車を考えていく上で、R32GT-Rのどこが楽しい車だったのかを考えるために電動化され、実験に供されているのだそうです。

インパネもR32GT-Rそのものに見えて、特注R32オリジナルシフトレバー/パドルシフト、液晶メーターパネル、液晶センターコントロールパネルを装備

インパネもR32GT-Rそのものに見えて、特注R32オリジナルシフトレバー/パドルシフト、液晶メーターパネル、液晶センターコントロールパネルを装備

電動化することで、RB26エンジンと同じような出力の出し方、トルクカーブなどを発生させて再現することは、今まで培った電動化、制御技術を持ってすれば、比較的容易にできるわけです。けれど、それだけでは振動や騒音はまったく違う、電動車両のもののままです。

そこで、ガソリンのGT-Rには何があって、電動のGT-Rには何が足らないのかを洗い出すことができる。そういうスタディをするための実験車両なのです。

インテリアはR32GT-Rそのもの

インテリアはR32GT-Rそのもののように見えて、特注レカロシートが装着されています

そうすることで、かねてよりドライビングプレジャーの高いといわれる車には何が備わっているのか、これから開発する車両には何が必要なのかが判明すれば、「運転の楽しさってなんだろう?」という永遠の禅問答に対する解を得られるかも知れない、というわけです。

だから、このR32EVは、実験部門からの出展であり、サスティナブルに気を遣ってることをアピールするIR部門でも、宣伝材料にしようとする広告代理店的発案でもないわけです。

後席は取り払われ、リーフNISMO RC02用リチウムイオン電池により、前後モーターを駆動

後席は取り払われ、リーフNISMO RC02用リチウムイオン電池により、前後モーターを駆動

他メーカーでも同じように「いい車、楽しい車ってなんだろう?」という取り組みはやっているはずですが、圧倒的にそのベンチマークとなるような歴史的車種を持っていて、電動化に一歩先んじてきた日産だからこそできた稀有な出展車両がR32EVである、といって間違いないでしょう。

もちろん、マフラーはありません!

もちろん、マフラーはありません!

前出の町田さんによると、「32GT-Rを電動化するなんて、なんてことしてくれるんだ!」みたいなお叱りをいただくこともある、とのことですが、その気持もわからなくはないですけど、次のもっと楽しいGT-Rがここから生まれるかも知れないと思えば、期待のほうが大きくなる気がしますね!

●R32EV主要諸元

ベース車両:R32型スカイラインGT-R(BNR32型)
全長×全幅×全高:4,545㎜×1,755㎜×1,340㎜
車両重量:1,797㎏
モーター最高出力(㎾):160×2基
モーター最高トルク(N·m):340×2基
乗車定員:2名
駆動方式:ツインモーター4WD
駆動バッテリー:リチウムイオン電池(リーフNISMO RC02)
燃料:電気
タイヤサイズ:245/40R18

●カスタマイズ/オプション

特注R32オリジナルシフトレバー/パドルシフト
液晶メーターパネル、液晶センターコントロールパネル
特注レカロシート
専用サウンドシステム
NISMO GT-R(R35)純正ブレーキ変換セット
NISMO スポーツサスペンションキット(OHLINS)
R32-EV オリジナル18インチホイール
(小林和久)

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